2007年2月21日水曜日

最近のトルコ経済開発

最近の経済開発

トルコ経済はこの数年間、これまでにないペースで成長を続けています。2004年と 2005年の名目GDPはそれぞれ3,000億米ドルおよび 3,610億米ドルを達成し、同年度のGDP成長率はそれぞれ8.9% と7.4%でした。2006年末にはGDPが3,990億米ドルに達する見込みですが、06年下半期の景気後退によってGDP成長率は下降し、5.1%前 後となるでしょう。他の多くのエマージング諸国と比べると、立派な数値となっています。  

他の指標を見ると、インフレ率が2001年の 68.5%から2004年の9.3%、2005年の7.2%へと下降しています。 2006年は9.9%程度になると見られます。インフレ率が80~90%を下回ることがほぼなかった90年代とは格段の違いがあります。高インフレ率は日 本を含めた海外投資家らの大きな懸念材料となっていました。2005年末時点の輸出額は731億米ドル、輸入額は1,160億米ドルで、どちらも10%超 の増額となりました。2004年に8億9,000万米ドルだったFDI流入額は、2005年には98億米ドルと急増しました。年間平均一人当たりGDP は、2001年の2,042米ドルから、2005年には5,048米ドルに伸びました。  

これらの事実と合わせて、若年人口が 7,160万人(2005年)であることを考えると、トルコが海外投資家の注目を集め、 BRICsプラスのエマージング諸国に仲間入りした模様であると容易に結論づけられることでしょう。しかし、それだけでトルコへのFDI流入は今後も維持 できるのでしょうか?国内外における経済や政治の情勢、取り決め、提携など、トルコの他の課題は、日本を始めとする諸外国との経済・投資関係にどのような 影響を及ぼすのでしょうか?日本からの投資を呼び込めるかという意味で、トルコは新たな「タイ」や「チェコ共和国」になれるのでしょうか?

2001年危機を脱出  

ト ルコ経済研究者の多くが認めるように、上記の実績指数はトルコにとって驚異的なものでした。その主な理由として、トルコが2001年に銀行・財政危機によ り大きな打撃を受けたことがあります。2001年、トルコの名目GDPは1,470億米ドル、GDP成長率はマイナス7.46%、一人当たりGDPは 2,042米ドルで、インフレも68.5%と上昇し、輸出額は344億米ドル、輸入額は389億米ドルとなり、人口は6,730万人にとどまりました。こ れらがこの年の深刻な経済危機と結びつき、トルコは経済的に困難な状況に直面する結果となったのです。

 最新の経済指標は2001年のそ れをはるかに上回っており、現政権(公正発展党(AKP))による危機管理対策は国際社会から大きな賞賛を浴びています。90年代の10年間に及ぶ改革の 失敗とマクロ経済悪化を経て、トルコでは、新たな緊縮経済対策のもとでミレニアムを迎えました。この対策はビュレント・エジェヴィト元首相の第57次連立 政権(民主左派党(DSP)、民族主義者行動党(MHP)、祖国党(ANAP))によって策定され、1999年12 月に導入されたものです。国際通貨基金(IMF)はこの対策の策定と監視にかかわり、99~02年に純総額206億ドルの財政支援を行いました。

AKP が2002年に国政選挙で勝利した後、レジェップ・タイップ・エルドアン首相およびアリ・ババジャン経済担当国務大臣らの閣僚は、IMFの緊急支援措置と 連動して、緊縮経済・財政政策と改革を続行しました。トルコ中央銀行も財政管理に貢献し、そのすべての取り組みが2001~06年の大変好調な経済実績に 結びついています。

 IMFプログラムに加えて、トルコのEU加盟交渉で求められた緊縮財政・規制改革も、安定した経済環境の実現に寄与 しました。トルコ経済に恩恵をもたらした、いわゆる「二つの錨」の関係(IMFとEU)は、他のエマージング諸国の中でも独特なものだと考える経済学者も います。

国家財政

 2001年以降の移行期間と 考えられる時期において、トルコの公債管理と経常赤字は引き続き微妙な問題となっています。2002/2003年に20% だった財政赤字のGDP比は、2006年末には1.3%になると見られています。貿易赤字は2003年に221億米ドル、2004年に344億米ドル、 2005年に433億米ドルでしたが、2006年には350億米ドル前後(GDP比は約8.5%)となる見込みです。赤字の大部分は高額な石油分野への資 金提供によるもので、2006年には(上記350億米ドルのうち)約125億米ドルとなります。公債問題への対応のため、トルコ政府が引き続き財政管理を 行うことが期待されています。

消費者負債

視点を 変えると、改革がトルコ国民に与えた影響が懸念されます。トルコ国民の多くは、経済データの内容にかかわらず、所得が事実上直ちに上昇しないなか、緊縮財 政政策のもとで犠牲となり、苦しんできました。それでも、所得が伸びないなか、同時期の金利引き下げは、個人負債の拡大という犠牲のもとでやっと、内需の 急増をもたらしました。このように金融商品や金融サービスが国内消費を動かし続ける手段を提供した結果、平均的なトルコ人は、複数のクレジットカードと自 家用車や住宅の銀行ローンを背負わざるをえなくなりました。そのほとんどは、一般に年利60~100%前後の過剰な金利(トルコリラ建て)により 90年代には利用できないものでした。現在では消費者ローン金利は15~20%で、幅広く利用されています。「金融緩和」は国民や企業に役立つ一方、国内 の借主が借入過多や最終的にボトルネックに陥る事態ともなっています。これは逆に、2006年下半期に見られた内需の縮小につながります。しかし、大半の 主要グローバル市場で成長が見込まれ、トルコが輸出拡大に対応できる可能性もあることから、GDP成長率は2006年の見積で5.15%、2007年で 4.88%と安定を続ける見込みです。

将来に向かって  

大 統領選と総選挙が予定されている2007年は、トルコにとって重要な年となるでしょう。これらの選挙で、差し迫った多くの政治課題が浮き彫りになるで しょうし、国の財政問題が注目されることも考えられます。このような状況のなか、中央銀行はインフレ抑制のため、緊縮財政政策を続ける見込みです。輸出が 好調となって、IMFとEUの主導による活況ある国内市場が2005/2006年に欠如した穴埋めができると期待されます。エルドアン首相がトルコの次期 大統領になるのか、総選挙でAKPの磐石な基盤に変化が生じるのか、ライバル政党の復活はあるのかなど、多くの推測がなされています。これらの問題は、国 内的、対外的に想定される影響を考えると、非常に重要です。さまざまな異なる予測がなされていますが、2007年の選挙結果等がどのようになろうとも、ト ルコが2001年以来実施してきた、改革による進歩を続けていくと我々は考えます。その道は平坦ではないかもしれませんが、トルコはBRICsプラスのエ マージング諸国の一員として、2010年までは確実に、また幸運なら2023年に向かって、同盟国に対し確実で成長するパートナーシップの提供を目指しま す。外国の投資家には、攻撃的な姿勢と綿密に計算した姿勢とをうまく組み合わせ、トルコという国を戦略的に見ることをお勧めします。

EU 加盟が実現する前でも、日本はトルコへの投資が可能です。この点において、日本とトルコは、EU交渉を妨げることなく、包括的で戦略的な合意に向けて 取り組む必要があります。トルコ政府は日本に関して強固な戦略を策定するのが賢明でしょう。2006年1月に小泉前首相が歴史的なトルコ訪問を果たしたこ とから、安倍現首相とその内閣もトルコからの同様の訪問を歓迎してくれるはずです。日本は産業面での存在感と協力関係を拡大するため、世界中で良好なパー トナーを必要としています。トルコは、EU、米国、中東、ロシアおよびCIS/コーカサス地域との間で戦略的な利益を追求しながらも、日本に長期的な戦略 的パートナーシップを提供する地域の一つとなることができます。

情報リンク:日本貿易保険

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