2007年3月13日火曜日

“ポストBRICs=VISTA” インドネシアの能力とアキレス腱

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2007年の成長率は前年を越え6.2%増と予測

ポストBRICsの有力グループ「VISTA」(ベトナム、南アフリカ、インドネシア、トルコ、アルゼンチン)の一角を占めるインドネシアの経済が好調に推移しています。2006年7~9月期の実質GDP成長率は、前年比5.5%増を記録しました。

潜在的な成長率が高い国
 一般にはあまり知られていませんが、インドネシアについては、すでに1995年の段階で、経済協力開発機構(OECD)がBRICsと同列で将来の経済大国になることを予測していました。97年7月の通貨危機の発生によって、インドネシア経済はBRICsの後塵を拝することになってしまいましたが、潜在的な成長力は非常に大きい国といえます。

 まず、インドネシアの人口規模についてみると、2005年は2億2278.1万人となっています。日本の総人口の約2倍に達し、中国、インド、米国に次いで世界第4位の規模を誇ります。世界最大のイスラム教徒を抱えるインドネシアは、宗教上の理由もあって産児制限をしていません。このため、中長期的にも人口の大幅な増加が見込まれ、2050年には2億8464万人と2005年対比で1.3倍の規模まで膨れ上がるとみられます。

 こうした人口の増加は、将来労働力が潤沢に供給されることを意味しており、インドネシアのマクロ経済が軌道に乗ったとき、経済成長にとってプラスの要因として働くことになります。

 余談になりますが、イスラム教徒の多いインドネシアでは、性表現を巡って様々な問題も起きています。例えば、2006年4月に米男性月刊誌「プレイボーイ」のインドネシア語版が創刊されたのですが、これが大騒動となりました。イスラム強硬派の団体が猛烈な抗議を展開したためです。内容は、女性のヌード写真のない穏健なものでしたが、それでも性風俗に厳格なイスラム強硬派には許容されませんでした。1部約500円で10万部が発売されましたが、出版社が襲撃されるなど反対派による激しい抗議を受けて、5月の「プレイボーイ」は休刊に追い込まれてしまいました。

 編集部は、急遽、イスラム教徒の集中するジャカルタからヒンズー教徒の多いバリ島に拠点を移し、そこで6月に第2号を発行することになりました。反対運動に恐れをなした広告主が広告を控えるようになったため、第2号は白紙のページも目立ったということです。

外資誘致に積極的に
 また、インドネシアは国土面積が広く(日本の5倍以上)、立地条件が良好なことから、原油やガス、天然ゴムといった各種の天然資源が豊富に眠っています。

 さらに、外資の導入にも意欲的です。通貨危機発生後、政治・経済の混乱により日本を含めて外国企業の多くはインドネシアからの撤退を余儀なくされました。通貨危機から立ち直り、マクロ経済が通貨危機前の水準に回復した後も、直接投資の流入額は低迷したままでした。

しかし、2004年10月に就任したユドヨノ大統領は、外国企業の投資拡大を最大の課題として掲げており、外資誘致に積極的な姿勢を示しています。インドネシア政府が投資優遇策を拡充していることなどもあって、外国企業の進出には再度増加の兆しが見え始めています。インドネシア投資調整庁の統計によると、2006年における外国企業の直接投資認可額は前年比11.6%増の高い伸びを記録した模様です。

 さらに、購買力のある中産階級が徐々に台頭してきたことも、消費主導の高成長につながっています。現在、華人を中心にインドネシアの総人口の1割にあたる2200万人程度が中産階級に属するといわれており、彼らが自動車やオートバイ、家電製品といった高額耐久消費財を積極的に購入しています。現在、インドネシアのオートバイ市場は世界第3位の大きさです。
気になる「インフレが発生しやすい国」

インドネシア経済のアキレス腱は、インフレーションが発生しやすいということです。

 インドネシアは世界有数の産油国ですが、原油の生産量は通貨危機発生以降、減少傾向を辿っています。2005年の原油生産量も前年比1.4%減の5500万トンにとどまりました。

 これは、1998年のスハルト政権崩壊に伴い国営の石油会社プルタミナの汚職が発覚、同社の経営が混乱状態に陥り、同社と資本提携を結んでいた欧米の石油メジャーがインドネシアにおける油田開発などの新規投資を控えたことが大きく影響しています。油田の老朽化が進む一方、モータリゼーションや工業化の進展によりインドネシア国内の原油需要は大幅に拡大しています。この結果、原油の国内需給が次第に逼迫、インドネシアは2004年に原油の純輸入国へと転落しました。このため、原油の国際価格が上昇すると、それに連動して国内の物価も上昇しやすくなっているのです。原油価格が高騰した2005年には、インフレ率が10.5%にも達しました。

 しかし、最近ではインフレーションが落ち着きを取り戻しつつあります(図表)。物価の安定を受けて、インドネシア中央銀行は金融緩和策をとるようになりました。2006年の7月以降、相次いで政策金利(中銀短期証券1カ月物の利回り)の誘導目標の引き下げを実施しており、2007年2月の金融政策決定会合においても0.25%の利下げを行いました。政策金利の水準は9.25%となっていますが、今後もしばらくは金融緩和策が続くとみられます。金利の低下を背景に、金利に敏感に反応する耐久消費財など個人消費の回復が期待されます。すでに、自動車やオートバイなどの高額耐久消費財については販売の回復傾向が鮮明となっています。中産階級向けのデジタル家電の販売も好調です。

2007年の成長率は6.2%と予測
 BRICs経済研究所では、インドネシアの実質経済成長率が、2006年の前年比5.6%増から2007年には同6.2%増まで高まると予測しています。短期的には高成長が見込めますが、インフレ体質のほかにも、現在のインドネシア経済は様々な問題を抱えており、早い段階でBRICsへのキャッチアップが進む可能性は低いといえます。

 潜在的な成長余力は大きいといえますが、頻発するテロ事件や政情不安、鳥インフルエンザの流行、洪水の被害など短期的に解決すべき課題は多いでしょう。

情報リンク: nikkeibp.jp

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