ベトナム株投信に勢い 高成長の余熱に期待
→参考できる新興国株投資を見極める情報←
アジアで中国に次ぐ高い経済成長を続けるベトナムに投資する投資信託(ファンド)が相次いで設定されている。中期的に成長余地があるという期待か ら、その成長の恩恵にあずかろうと目論むファンドが目立つ。個人が直接、株式に投資するのが難しいベトナムでも、投信の枠組みを使えば、個人が資金を投じ る道が開ける。ただ、株式市場そのものの仕組みが未成熟な状態にあるだけに、事前の情報収集は欧米や国内の株式市場への投資以上に丁寧に進める必要があ る。
ベトナムの証券取引所は2000年に開設されたホーチミン証券取引所と、2005年にオープンしたばかりのハノイ証券取引所の2カ所だ。100社 余りが上場しているホーチミン証取と、80社余りが上場するハノイ証取を合わせても200社に満たない程度で、まだ日本とは比較にならない。ただ、中国と 同じように、未上場の国営企業が今後、数年間のうちに株式を上場すると見込まれていて、銘柄が大幅に増える可能性がある。
現物株を日本から個人が売買するには、現地の証券会社に口座を開く必要がある。わざわざ出掛けて口座を開く人のためのツアーを用意する会社もあるが、投信を使えば、手間やリスクを省きやすくなる。
ベトナムは2006年度に株価指数が約80%も上昇した。ファンド各社は「ネクスト中国」の一番手という期待をかけ、投信の設定に力を入れている。
ベトナム株への投資を組み込んだファンドは増えているが、ベトナムだけを投資対象地域に限定するファンドは少ない。中国やインド、タイなどのアジ ア広域に投資するファンドが一般的だ。ベトナム株の成長力をできるだけリターンに反映してほしいと思うなら、各ファンドのベトナム株組み入れ比率を確認し て比較したい。
ベトナム株に絞った格好で発売されたファンドとしては、「フェイム-アイザワトラスト ベトナムファンド」(藍沢証券)や、「ベトナムファンド」(三井住友アセットマネジメント)などの例があるが、その数はあまり多くない。
「ベトナム株ノーロードファンド2」(グローバルリンクインベストメント)は6月末、募集受付を締め切った。新興国企業の投資リポートで有名な戸 松信博氏が立ち上げた会社だ。著書『ベトナム株』(アスペクト刊)はベトナム株の基本データや銘柄選び、買う手順などを解説したガイドブックだ。初めてベ トナム株に投資しようと考える人には参考になるだろう。
ベトナムを含む複数国・地域への投資ファンドはその対象地域で特徴を出しつつある。興銀第一ライフ・アセットマネジメントはベトナムやフィリピン 株などで運用する「DIAM VIPフォーカス・ファンド(愛称・アジアン倶楽部)」を設定した。「VIP」とは、ベトナム、インドネシア、フィリピンの 頭文字だ。3カ国以外にも、ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟国や中国、インドなどアジア諸国・地域に分散投資する。
大和証券は、ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンの株式に投資する「JPM・VISTA5・ファンド」を発売した。米国系 運用会社、JPモルガン・アセット・マネジメントが設定した、大和証券向けの専用商品だ。当初はベトナムへの投資比率は全体の5%と設計している。
比較的ワイドレンジの広域アジアに投資するファンドは、リスク分散意識の高い投資家に支持される傾向にある。りそな銀行やカブドットコム証券が 扱っているのが、東南アジア各国の株式に投資する「PCAグローイング・アジア株式オープン」。ASEANのうち、株式市場があるベトナムやシンガポー ル、フィリピンなどの株式が主な投資対象だ。HSBC投信はベトナム株やインド株に投資する「HSBCアジア・プラス」を設定した。日本を除くアジア全域 の成長国・地域をカバーする広域分散型ファンドだ。
配当実績・見込みを重視した投信も増えている。大和住銀投信投資顧問が3月に設定した「アジア好配当株ファンド」は好パフォーマンスを期待してアジア株投資を始める個人投資家のニーズを取り込んで売れた。
好配当株を組み込む投信としては、2006年11月に野村アセットマネジメントが設定した「アジア好配当株投信」という成功例がある。資金が期待を上回るほどのペースで集まり、新規購入の受け付けを一時、止めたほどだ。
株式以外への投資を組み込むファンドも現れた。日興アセットマネジメントが6月に設定した「アジアの財産3分法ファンド」はアジアの国・地域の株 式、不動産、債券に分散投資する。同社は3月に「日興アジア資産3分法」も設定している。大和投資信託委託は6月、アジアの株式、不動産、債券に投資する 「ダイワ/フィデリティ・アジア3資産分散ファンド」を設定した。
経済成長率や株価指数などの伸びから、期待を掛けたくなるベトナム市場だが、期待を膨らませすぎるのは禁物だ。市場内で売り手が周囲の人に声を掛 けて株式売買をしたり、町中の喫茶店やレストランで相対売買が日常的になされているような、近代的とは言いかねる市場環境にある上、国有企業の上場見直し や、国策の変更などのマクロ的リスクも先進国に比べて小さくはない。あくまでも余裕資金に限って、投資の選択肢の1つとして組み込むようなスタンスを保つ のが当面は現実的と言えるだろう。
情報リンク:日経新聞ベトナム投資をするならユナイテッドワールド証券、安藤証券がおすすめ。
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